1999 

Note / 1999 2000






画像1
OFX01_s.jpg

画像2
BACKs.jpg

 1999/11/07

  私は以前に3DCGを作ったことがある。学祭向けのビデオのオー
 プニングタイトルの為だ。サークルロゴが音楽に合わせて回転しな
 がら飛んだり戦闘機が発進ししたりする、10〜20数秒の短い作品
 だが、一週間くらい徹夜しながら作ったものだ。

  当時のソフトはDoGA CGAシステム、ハードウエアはX68000
 と言うマシンだった。CPUはMC68000の10Mhz、メモリーは12
 メガバイトという現在から見れば恐ろしく非力なマシンだったが、作
 画が完了するまでの長い時間を、多少のじれったさと共にわくわく
 しながら眺めたものである。

  それから十年近くの時が流れ、私もいまや当時の数十倍の能力
 を持つ機械を使用している。ふと手元の雑誌に目をやると、様々な
 フリーの3Dソフトが収録されていた(*)。 その中には懐かしい
 DoGA CGAシステムの名もあった。最近の3DCGソフトの状況
 を見てみたくもあり、当時使ったCGAがどのように発展したか気に
 なったので、早速使用してみることにした。

  結果、現在のマシンを使う様になって初めて、自分のマシンが
 (当時に比べ)いかに高速なものであるか実感することとなった。

  「画像1」はDoGA L2によるモデルのサンプルである。有り物
 のパーツ200種以上から選んで、6種ほどを適当に組み合わせ
 ただけの代物だが、昔作った形状より遙かに複雑な形が、30分
 ほどで出来てしまった。当時は一週間もかかったのだが...

  また、様々な背景もあったのでサンプルのムービーも作ってし
 まった。非常に単純なものだが、当時はこのレベルの作画ですら
 7〜8時間がかかったのに、あっさりと5分ほどで終わってしまった。

  ほんの一年前まで12年前のマシンを使っていた私にとって、恐る
 べき処理能力である。(最も、今までそれを実感出来無かった点に
 現在のOSの問題点があるような気もするが。)

  続いて「画像2」である。これはTerragenというソフトを使って作った
 もので、いくつかのパラメータを選び、地形をマウスでがりがり描いて
 やることで、山や湖、雲などを配した風景を生成できる、「自然景観
 ジェネレータ」なのだ。実際、パラメータや地形を適当にいじってい
 るうちにこんな物ができあがってしまった。さらに、サンプルとして収
 録されていた慣れた人の作った画像は写真と見紛うばかりの美しさ
 である。

  恐るべし、技術の進歩....絵を描く人間の端くれとしてはアイデ
 ンティティーの危機をもたらしそうなソフトだ。(我ながら安いアイデン
 ティティーだとは思うが。)

  実際、「絵を描くこと」へのコンピューターの浸透は急速に進んで
 いる。みなさんも映画やゲームなどで目にすることも多いと思われる
 が、実写と見まごうばかりの映像がコンピューターによってジェネレー
 トされている。以前のように訓練によって鍛えられた腕が無くても、
 (形状モデルさえあれば)パースの狂いのない物体を、好きな角度
 から、何度でも作画することが出来るのである。

  だが、それでも自分の手で絵を描くこと自体は無くならないだろう。
 絵を描くというのは世界を抽象化して脳が楽しむ行為でもあるから
 だ。脳は元来抽象化を良しとする傾向があるようである。そしてこの
 傾向は適応として理にかなっているため、我々の脳に分かち難く密
 着しているのである。

  さて、今日は長くなりすぎた。続きはまたの機会にしよう。



 (*)DoGA L2は現在はシェアウエアである。元々CGAシステム
    はX68k時代は「カンパウェァ」といい、DoGAの活動理念に
    賛同してくれる方はカンパしてください、と言うものだったのだ
    が、(もちろん私もカンパした)Windowsではソフトを使用して
    満足したいう者が多いにも関わらず、ほとんどカンパが集まら
    なかったからだそうだ。X68kユーザーとWindowsユーザー
    の文化の違いかもしれないが、嘆かわしい話だ。




 1999/11/02

  前回の予告通り、人型機械、知能機械等に関する個人的定義をまと
 めてみた。


 ・サイボーグ

   身体の機能を部分的に機械装置に置き換えた生物。必ずし
   も元の生物の姿と同一である必要はない。

   定義(1): 狭義には、身体を二つ以上の異なる機能を持つ部品を
         組合わせた機械装置と置き換えたもの(ペースメーカー
         等)から、脳以外の全てを機械化したものまでを含む。

    定義(2): 広義には、人工関節や人工水晶体、義歯などの単機能
         の部品からなる埋め込み型補助器具(眼鏡など、自由に
         取り外し可能なものは含まない)を埋め込んだ人間から、
         性格や経験、記憶など、特定の人間(個人でなく、複数
         の人間でも構わない)の脳の機能の一部を機械装置に
         コピーしたもの(*0)までを含む。


 ・ロボット

   定義(1): 人間の労働を代替する機械。人間が行なう各種労働を、
         ある程度自律してこなさなければならない。産業用ロボ
         ット、自動販売機などが含まれる。

         例外として、極限作業ロボットなどの遠隔操作型の機械
         も「人間の行けない危険な環境で人の代わりに作業する
         機械」ということで、ロボットであるとされる。(*)

      (*) したがって鉄人28号はロボットであるが、マジンガーZ
          等は定義(1)でのロボットに含まれない。


   定義(2): 何らかの生物(空想上の生物を含む)を機械的(*)に模
         した装置。某猫型ロボット、ペットロボット、マジンガーZ、
         モビルスーツなど。

      (*) たまごっち等の電子ペット、仮想現実上にしか存在し
          ない人工人格などはこれに含まない。


 ・アンドロイド

   定義(2)のロボットのカテゴリーの一つ。

   知能の有無にかかわらず、人間に非常に近似した外見を持
   ち、人間を模倣した機械。テーマパークの有名人型ロボット
   から、家政アンドロイドのHMX−12(*2)や人間以上の能
   力を持つ合成人間である特捜司法官のジョーカーまで、人
   工的に作られた擬人機械全てが含まれる。


 ・人工知能(A.I)

   「人間の知能」の全て、あるいは一部を機械によって実現し
   ようとしたもの。

   エキスパートシステムや、ご飯を美味しく炊きあげる炊飯機
   (笑)から、人間以上の知的能力を持つ人工島ガーディアン
   (*3)まで様々な段階ものを含むが、一貫して人間の知的
   能力を人工的に再現しようとした物を指す。


 ・機械知性

   前出の人工知能と似ているが、必ずしも人間の知能を模倣
   している必要はなく、人間とは全く異なった論理形態/価
   値観をもつものもあり、人間に理解できない思考をするもの
   も少なくない。

   というよりは、機械知性の特殊な例が人工知能であり、機
   械知性に包含される概念といえるだろう。



  これらの定義については、各種SF作家とそのファン、家電業界人、科
 学者、技術者等が好き勝手に呼称しているのが現状であり、それらを出
 来るだけ取り込んだ結果、個別には不明瞭な定義となっていることは否め
 ないが、これらの定義は厳密なものでなく、互いに包含・規定しあうもので
 あり、複数のカテゴリーに属する存在もある。

  定義の穴や矛盾もあると思うが、とりあえずこんな所だろう。間違いや見
 落とし等の指摘、質問、ご感想は随時受け付けますので、メールかBBS
 までどうぞ。


 (*0)ショーシャ606(Bibliothe`que Live(c) 佐藤明機)等。
      死亡した個人の貯蔵人格(複数)を元に再構成された有機
      体殻を持つアンソロジー知性体。メインランド中央図書館の
      司書だが、何故かメイド服。    

 (*1)ジョーカーシリーズ((c)道原かつみ)に登場する、司法コンピュ
     ータ並の判決能力と銀色の人工眼球を持つ合成人間。
     人間を遙かに越える身体能力や他人のDNAを取り込んでの
     変身能力まである。単独での判決と刑の執行権限を持つ。

 (*2)来栖川重工製の家政アンドロイドの試験機。パーソナルネー
     ムはマルチ。(To Heart(c)LEAF)人間との親和性を第一に
     考えられ、人と同等の感情を持つ。機能優先の対抗試作機、
     セリオと共に最終試験として一般の高等学校に派遣された。

 (*3)カイパーベルトで発見された異星の戦闘機械のオーバーテク
     ノロジーを解析/研究する目的で建造された人工島の制御
     人工知能。(Thunder Force V(c)Tecno soft)





nd_s.jpg

 1999/10/31

  SONYから例のロボットのセカンドモデルが発売されるそうだ。今回は
 日米欧で抽選で10、000台だという。予算さえあれば私も是非欲しいと
 ころである。それにしても機能はかなり限られているとはいえ自律ロボット
 が個人で買える時代になるとは。HONDA P3といい、まさしく”Future
  is now.”である。良い時代に生まれたものだ。

  ところで日常何気なく使われている「ロボット」と言う言葉だが、これによ
 ってイメージされる物は各々かなりばらつきがあるようだ。他にも、アンド
 ロイド、サイボーグ、人工知能等の言葉も混同されて使われていることが
 多い。さらに様々なSFで独自の造語が使われたりして混乱を深めてい
 る。(スターウォーズに登場する自律ロボットはドロイド、ガンダムはモビ
 ルスーツ。)

  生命と非生命、秩序と混沌の狭間の事象を研究する私としては、この
 ままでは少々気持ちが悪い。次回はこのあたりの語句を私なりに一通り
 分類、整理してみようと思う。

 #  週2回程度更新と言っておきながら、このていたらくである。訪問
 # 者の方々には誠に申し訳ないが、みみずのやることだと思ってご容
 # 赦願いたい。





rac991015s.jpg

 1999/10/16

  さて皆さん、ダンゴムシはご存じと思う。岩や倒木の下などにいる、灰
 色をした、つつくと丸くなるあの虫である。

  虫と呼ばれているものの、実の所あれでも歴とした「甲殻類」...そう、
 エビやカニの同類なのだ。正確には甲殻類等脚目に属し、フナムシに
 近いと言う。(エビ、カニは十脚目)

  さて、エビやカニと同じ甲殻類なら食べられそうなものであるが、物の
 本によると似たような仲間のワラジムシ(ダンゴムシより小型で平べった
 く、同じ様なところに住んでいる)は食べられるらしい。(もっとも、ほとん
 どの虫は実は食べることが出来るのだが。)

  茹でた上でタルタルソースに混ぜ、フライなどに塗って食べると、小
 エビのような味がして美味であるという。

  是非一度食してみたいものだが、あの小さいワラジムシを食べるに足
 る量集めるのは並大抵ではないと思われる。しかし、比較的大きくて数
 の多いダンゴムシなら何とかなりそうだ....

  だが残念ながら、筆者の環境では新鮮なダンゴムシを確保するのは
 難しそうだ。何より、同じ様な暮らしをしている生き物どうし、殺生もはば
 かられる。

  そういうわけで、私の密かな野望は達成されそうもない。無念だ...





SYL&EAR_s.jpg

 1999/10/11

  本日より研究ノートをつけることにした。当コンテンツでは私の興味の
 向くまま、生命と非生命、秩序と混沌の狭間の事象について語ろうと思
 う。

  とはいえ、毎回ネタが続くとも思えないので、実際には日記のような物
 になるだろう。まあ私自身がカオスの縁で生まれた泡のような物である訳
 で、そういう意味ではあながち的外れとは言えないだろう、と勝手に納得
 することにする。失礼。
 
  また、それとは無関係に、気ままに書き上げた落書きを毎回展示する
 つもりである。私は生来の怠け者であるので(何せみみずだ)、ここで公
 言して自らにプレッシャーをかけないと、更新が滞りがちになってしまう
 のだ。(情けないことに。)

  当面は週2回程度の更新を目標としている。と言うわけで、当ページの
 訪問者の方には、今後の私の駄文にお付き合い願いたい。








Note / 1999 2000